目次
Q1、独立に至った経緯と理由、独立に際しての気持ちなどを教えてください
私は、独立までの8年間地方銀行に勤務していました。
地方銀行の営業実態は、なかなか過酷です。
銀行にとって仕入れに当たるのは預金です。
給与振込や年金振込がそれほど多くない私が勤務していた銀行では、銀行にとって仕入れに当たる預金を金利という費用を支払い、定期預金や、定期積金でかき集めるという方法でした。
当然ながら、他の業種であれば仕入れ先には頭を下げないものですが、銀行は利息を支払って預金先に頭を下げなければなりません。
また、銀行にとっての売上は融資です。
しかし、低金利時代の今、銀行は預金を仕入れて融資を行うだけでは収益の源泉となる利ザヤが稼げないのが現状です。
ひと昔前であれば5%で仕入れた預金を10%の金利で融資を行い、5%程度の利ザヤが稼げましたが、現在は0.1%で仕入れた預金を2%の金利で融資を行ったとしても1.9%の利ザヤしか稼げません。
また、一部の業種を除けば景気はいいとは言えませんので、お金を借りたい会社にはお金を貸すことができず、貸すことができる会社はお金が必要ないという状態です。
このため、高金利商品であるカードローンをお金のない人に貸し付ける、必要もない資金を馴染みの社長さんに頼んで貸し付ける、必要もない運用商品を顧客に販売して、手数料収入を得ると言ったような業務を行なっているのが、銀行の営業現場の実態でした。
お金のない人はますますお金がなくなり、銀行はお金という血液を注入して地域経済を活性化するのではなく格差をむしろ広げ、お金のある投資未経験の人へ投資の世界に巻き込むという、およそ自分が地域経済に貢献したいという希望とはかけ離れた業務を行なうことになっているのです。
それに加えて、アベノミクスの低金利金融緩和政策が始まり、銀行業務はますます将来性が感じられなくなりました。
自分で、お金を稼げるように手に職をつけたいと考えるようになったのが独立のきっかけです。
独立しようと決心した時に、私は当該支店のある地域ではエリア内営業成績1位でした。
会社は退職を止め、実家の両親にまで退職を思いとどまるように説得に来ましたが、退職希望の3ケ月前に退職を願い出て、結局1ヶ月引っ張られて退職を願い出た4ヶ月後に退職しました。
Q2、何の業種・業態で独立を決めましたか?経緯も教えてください
私の友人に県内で火鍋店を経営している人がいました。
地元でもなかなかの人気店であったのですが、その火鍋店が入るテナントが突如賃貸の契約を打ち切るということを通告してきたため、友人は火鍋店を閉店せざるを得なくなりました。
閉店後、1年して、その友人と2人で東京に行ったときに、東京の火鍋店で食事をしました。
「やっぱり火鍋はうまい」と話しをしているうちに、地元でもう一度火鍋店を開きたいなどという話になりました。
友人はトラブルがあった自分の地元ではもう店を持つのが嫌だということから、私の地元の自治体で店を探すことが決まりました。
そのタイミングはちょうど自分が銀行業務の将来性や自分自身のモチベーションにも限界を感じていた時でした。
私は「だったら自分にやらせてほしい」と話しをして、私が独立して店を経営していくこととなりました。
なぜ飲食店を選んだのですか?
なぜ飲食店かと言えば、自分が銀行員として限界を感じていたタイミングで、友人が一度閉店させた火鍋点を私の地元で復活させるという話になったためです。
閉店前はその店はローカル情報番組にも何度も出ている人気の店でしたし、私も何度もその火鍋を食べて、そのお店ファンであったためです。
旨いものは大丈夫という漠然とした確信があったためそれほど不安には感じていませんでした。
また、すでに顧客がついていること、自分自信そのお店のファンであったこと、また、閉店前の店で働いていた従業員がちょうど何もしていなかったため、再度お店をオープンする際にも私の地元に来てくれるということになったため、営業実績、味、従業員等あらゆる要素が備わっていたため、自分はしばらく食べていくことができなかったとしても十分に赤字にならずに運営できていけるという見込みがたったため、飲食店で開業に踏み切ることにしました。
Q3、開店資金はどうしましたか?
開業資金は店舗のリフォーム資金で500万円、運転資金で200万円ほど借金をしました。
店舗のリフォーム資金は自分の貯金と親と自分の友人からの借金です。
運転資金は200万円ほど借金をしましたが、こちらは自分が元銀行員で、銀行時代の友人がちょうど私が店舗を構えるエリアを担当していたため、比較的容易にすべて友人任せでお金を借りることができました。
創業計画書などはすべて友人が私との話の中から作成してくれ、自分は必要書類を集めることと、申込書や契約書に必要事項を記入するだけでした。
銀行の信用保証協会保証付きの創業支援資金という資金を金利1.5%で借り入れ、現在も返済中です。
親と友人からの借金はまだ返し終えてはいません。
Q4、オープンまでの流れや準備とオープンまでに大変だったことは?
・オープン前の法的準備
移転以前にオーナーであった私の友人は本業が忙しく、日本全国を飛び回っています。そのため、店の設計とレシピの体系化だけ彼に任せ、その他の細かい作業はすべて自分で調べながら行ないました。
いかんせんずぶの素人ですから、開業に必要な情報はすべてインターネットで調べて、私自身分からないことを他人に聞くということがあまり好きではないため、今から思えば相当綱渡りの開業でした。
最初は飲食店を開業するためには法的に何が必要かということです。
銀行員時代、飲食店の開業などに携わった経験から、保健所の営業許可というものが必要になるという知識だけはもっていたのですが、営業許可を得るために何が必要なのかが分かりません。
調べてみると、食品衛生管理者という資格が必要になるということが分かりました。
この資格はセミナーを受けるだけで取得できる簡単な資格なのですが、毎日行なっているわけではありません。
日程を合わせて有給を取らなければならないのですが、当時勤務していた銀行は理由のない有給は取れず、銀行は独立して退職をすること自体も反対の立場でしたので、ずいぶん気疲れしたのを記憶しています。
資格取得後は保健所による店舗への実地検査を受けて営業許可発行となります。
通常は保険所に申請を出す前に、店舗の設計が保健所の基準にマッチしているかどうかを設計書を提示してアドバイスをもらうものだそうです。
しかし、私の場合には店舗の設計と工事を前オーナーに任せてしまっているので、設計図すら手元も持っていません。
申請に行くと、保険所の担当者から「独立したシンクが3つ以上ありますか?」と聞かれました。私の記憶では工事中の新店舗ではシンクは2つしかなかったのですが、心の中で「そうなんだ。。」と思いながらも「大丈夫です」と答えました。
その後、実地調査の日までに急いで県内の中古厨房器具屋を飛び回り、工事後の狭いキッチンでもなんとか収まるだけのシンクを手に入れて、保険所の許可を得ることができました。
・オペレーション
店舗完成後は、とにかく私自身素人で、移転前のスタッフもかなりうろ覚えであったため、1からすべて調理できるように2ヶ月ほど訓練しました。
鍋料理であるため仕込みさえできれば後は注文が入った後の手際だけです。
2ヵ月間で猛特訓を行い、なんとか自分たちですべての調理をできるようになりました。
しかし、お客様に満足していただくことができると自信をもてるようになったのは開業から3年目を経過した最近のことです。
いくら手順がよくなったからと言って、細かい部分で効率化できる部分はまだまだたくさんありますし、飲食店においてお客様は「早く食べたい」という欲求をもって来店されますので、1秒が勝負になります。
今後もまだ何秒か縮めることができると考えていますし、オーナーである自分が店にいる時といない時ではスタッフの動き方も変わってくるということがスタッフ同士の会話からもわかるため、できればすべての動作をマニュアル化して、さらなる効率化を図りたいと考えています。
・広告
開業時には、地域の人にお店が開業したということを告知しなければなりません。そのため、自分で割り引きチケットを作成し、厨房担当が練習をしている間に地域の人に配って回りました。
私の場合は薬膳火鍋という女性が好むものでしたので、美容院、エステサロン、アパレルショップなどを中心にスタッフと回り、これはそれなりに効果があり、新規客の多くがチケットをもって来店してもらいました。
それでも、さらに売上を上げるために、食べログなどのインターネットの有料サービスを利用しましたが、こちらに関しては開業後の半年から1年程度の利用でよかったなと今は感じています。
食べログは掲載する情報量やサービス内容によって料金体系が変わってきます。
これは都会でも地方でも同じ料金です。
都会では、来店できる圏内に数百万人の人がお店の情報をキャッチしているのに対して、地方では多くても10万人程度です。同じ料金を支払っても、分母が全く異なるため、正直な話、費用対効果は望めません。
私の場合は月額40,000円程度の利用料金を支払っていましたが、そのサイトから来店した顧客は多くて月間15万円程度で、通常月は40,000円に満たない場合もしばしばでした。
グルメ好きや新規店舗の開拓が好きな人はグルメサイトをチェックしていますので、有料サービスによってそのような顧客に告知するという意味では有用ですが、地方では売上のアップまでは期待できないと感じています。
店舗の規模にもよるかと思いますが、それほど大きな席数がないのであれば開業後1年以上続ける意味はないでしょう。
雑誌広告やフリーペーパーなども同様でそれほど効果はないです。
ただ、継続して利用することによって毎月定額で新メニューの告知にはなるため、私は友人が経営しているフリ―ペーパー1社だけと契約するようにしており、他のセールスはすべて断っています。
また、グルメサイトなどに情報を掲載すると、様々な業者からセールスの電話がかかってきます。
これには私も非常に痛い目を見たことがあります。
ある日、「新規のグルメサイトを立ち上げるので、そのモデル店舗になってみませんか?」という電話が店にかかってきました。
「モデル店舗ですので掲載料は無料です」というため、約束をして話だけ聞いてみることにしました。
後日営業担当者が来店し話を聞くと、顧客にメルマガ会員になってもらい、メルマガで顧客の再来店を促すという話でした。
実際にうまくいった店舗の事例などを紹介され、自分自信「いいなぁ」と考えていると、掲載料は無料だがシステム導入料金に300万円ほどかかると言われました。
だったら必要ないと答えると、土下座するばかりに粘りに粘られ、最終的には100万円まで引き下げるからなんとか導入しないかと言われたため、3時間近く粘られた私は根負けして契約してしまいました。
導入後、このシステムは全く意味をなしません。
顧客が面倒で登録しないのと、登録してもらっても、メルマガなど送っても顧客はわざわざ読みません。
100万円はドブに捨てて、勉強料を支払ったと考えています。
開業後まもなくは、経営者が顧客の誘導や売上の見込みについてとても不安に感じています。
そのような中で新たなアイディアを提案されるとついつい乗ってしまいがちですが、今ではこのようなセールスはすべて断るようにしています。
また、顧客の再来店をメルマガなどで促したいのであればline@で十分です。
年間数千円で導入できますし、顧客にドリンクサービスなどのインセンティブを与えれば簡単に友達登録をしてくれます。割引チケットなどを配信すると、再来店率もかなり高いため費用対効果は抜群です。
とにかく、様々な経費の中で広告費が最も高くつきます。
基本的にセールスの勧誘はすべて断り、できる限り手作りのビラを自分で作り配るという方が絶対によいです。
また、飲食店の売上は基本的に口コミの積み重ねです。
お金をかけるより味や顧客が来店した時の楽しみなどの本質的な部分で顧客を獲得し、来店した顧客が友人や家族が勝手にお店の感想・口コミを広げてくれることに気を配った方がよいでしょう。
新規客の取り込みには少しお金をかけ、リピーターの獲得には手間をかけるというサイクルが大事になると今は考えています。
また、私はインターネット通販サイトで店舗も経営して火鍋スープや漢方などのセットを販売しています。
ここでもセールスの電話が1日数回は必ずかかってきます。
要するに「SEO対策で検索率を上げませんか?」という電話です。
これも費用は数十万円~100万円以上かかる話ばかりです。
今度はさすがに話に乗りませんでした。
こちらも新規客の取り込み時には楽天やAmazon内の上位表示のための広告を少し購入して、そこから入ってきた顧客には再来店を促せるように自分からアプローチをかけることも可能になります。Twitterの有料広告も新規顧客の取り込みには有効であると感じています。
また、リピート率を上げるためには、私は年賀状やセールスの告知をあえてはがきというアナログで行っています。
通販を行うと、店舗の顧客では住所までは分からないデータが蓄積されるため、こちらから積極的にアプローチをかけることができるという点がひとつの強みであると感じています。
インターネット通販を初めてから2年もたっていませんが、今ではこの方法で順調に売上も伸びていますし、今年は1円も広告を購入していません。
・開業を焦らないこと
開業前の準備を行なっている時期は、ただただ気持ちだけが焦ってしまうものです。売上が1円も上がっていないにも関わらず、毎日経費は発生し、家賃は毎月発生するためです。
私も十分に準備はしたつもりですが、それでも気持ちに焦りがあり、2ヶ月の準備期間の後に見切り発車でオープンしてしまいました。
最初のころのお客様はずいぶんお待たせしてしまったり、不手際もあったと今では反省しています。記憶している限り、その当時の顧客は開業後3年たった今、来店してくれているかというとそうではありません。
やはり準備をしっかりとして、お客様においしい以上の満足感を与えられるようになるまではじっくりと準備をした方がよいでしょう。
4ヵ月分くらい売上はなくても大丈夫というくらい手持ちの資金をしっかり持って、準備が完璧となったらその後の1ヶ月はプレオープン期間として友人知人だけを呼び、その後のオープンへと運んだ方がよいでしょう。
また、私の場合には火鍋店を自分の地元で復活させるということがコンセプトで味には自信があったため、ほとんど市場調査をしませんでした。
オープンしてみると、昼は観光客が多いのですが、夜は全く人通りがない通りであるため、夜の売上を確保するよりも昼の売上をどうやって確保するのかの方が大事になるということも分かりました。
最初から分かっていれば昼のメニューにもっと力を入れることもできたと思います。
営業しながら分かったため、今は昼のメニューも充実させていますが、当時は夜の予約が入っていない日は売上がゼロという日も珍しくありませんでした。
焦らずにじっくりと市場調査を行い、その町に適したメニュー展開を行うことも重要だと思います。
Q5、オープン後の喜びや経営面での苦労など教えてください
喜びはやはり、自分の店を持てているという感激と、お客様が喜ぶ顔と「おいしかったよ」という声につきます。
また、従業員の喜ぶ顔や、サラリーマン時代にはほとんど関わりがなかった高校生などの若いバイトの子の価値観に触れる機会です。
気持ち的にも経済的にもサラリーマン時代の方が楽でしたが、得られない経験を得ることができるため、私は今の方が人生は充実していると考えています。
何よりも、「こうしたい」「こんなメニューを作れば顧客はもっと喜ぶ」というような自分で自由に出した発想が上手くいった場合には、すべてお金になって返ってくるという点も大きな喜びです。
オペレーションは最初にしっかりとスタッフに教えてしまえば、それほど複雑ではないため、苦労はしていません。
ただし、人材の確保の人のやりくりには苦労しています。
ホールスタッフは募集を掛ければ必要以上に集まるのですが、調理スタッフを探すのが大変です。
皆、責任ある仕事をやるのが嫌だという理由で、厨房には立ちたがりません。
現在厨房ができるのは、開業時からのスタッフと私しかいない状況ですのでかなり大変です。
現在は、もともとホールに入っているスタッフに少しずつ厨房に入ってもらい、厨房スタッフとしても養成中といったところです。
・ちょうどいい人件費が難しい
お店が忙しい時にも忙しくない時にも、人件費は人がいる限り発生します。常に忙しい状態をキープできるのであれば常に人がいても問題ないのですが、なかなかそういうわけにはいきません。
私の場合には火鍋ですので圧倒的に冬が忙しいため、冬は進学や就職が決まって春まで比較的時間のある学生を雇い、夏の間はいつものスタッフだけで運営するという方法を今では確立しました。
店にとってちょうどいい人の配置を考えるのは、実際に営業してみないと分からない部分の方が多いですし、また計画通りに実際に人を配置するのも難しくなります。
効率よく人件費を掛けられるようになるまでには、オーナー自らが体を酷使して人手の足りない部分を埋めなければならないため、こちらもかなり大変です。
・常に新しいものを導入する
飲食業界という業界は大手の参入も激しいですし、入れ替わりや食べ物のブームのトレンドの入れ替わりもかなり激しい業界です。
そのため、オープン時から変わらないメニューをずっと続けているだけではすぐに飽きられてしまいます。
できれば毎月キャンペーンを行ない、常に新しいメニューを顧客に提案し続けていくということが重要になります。
ただし、お店のカラーと定番メニューだけは絶対に外さずに、その定番メニューとカラーに即した新しいメニューを開発するということが重要になります。
私は他の事業や活動を行いながらの店舗運営ですので簡単ではない中、できれば毎月1回は新メニューを投入するように心がけておりますが、この作業がなかなか大変です。
しかし、この作業を怠ると顧客はすぐに離れていってしまうと感じています。
Q6、ぶっちゃけ、上手く行っている方だと思いますか?(売上・経費・資金繰りなど)
正直オープンまもなくは「こんなに儲かっていいの?」というくらいに売上が上がり、儲かりました。
九月のオープンから季節が進み寒くなると、週末はいつも満席、ひと月の経費を10日で稼げるような状況でした。
広告費を多くかけすぎても無駄なシステムを導入しても、全く気にならないくらいに売上と利益が確保できました。
ただし、当店は火鍋の店ですので、売上が上がるのは冬の間だけです。
春になると、あれほどあった夜の予約もほとんどなくなりました。
私の店は観光地にありますので、春になると観光客を拾わなければなりません。
しかし、前述したように、昼用のメニューがないことに気がづき、急いで昼のメニューや春夏用のメニューを開発しましたが、開発に精一杯で告知をしている暇もありません。
4月~6月の間は1ヵ月の経費を稼ぐことすらできない月もありました。
なんとかギリギリ店を回し、幅広い売上を確保するために通販を始めましたが、最初は通販を始めたら始めた分だけ経費がかかるものです。
そのため、オープン後の春から冬の間は利益が確保できないという月がずっと続きました。
2年目になると、昼のメニューも浸透し、温かい時期はランチで稼ぎ、冬には本業の火鍋で稼ぎ、通販でさらなる売上を確保するというサイクルができて、1年目の冬ほどではないですが、なんとか店を回すことができるようになりました。
自分の経験上や同業の経営者の話を聞くと、1年目は黙っていても利益は上がるものです。珍しいものや新しいもの食べたさで顧客は黙っていても集まります。
しかし2年目になると、顧客の来店の伸びは落ちます。
1年目に比べて新規の顧客が来なくなるためです。
3年目は今までの顧客が新しい顧客を連れてきてくれたり、リピーターが戻ってきます。
やはり、最初の来店時にいかに顧客の満足度を高めるかが、いかに重要であるかがよくわかります。
これはネット通販でも同様のことが言えます。
できれば1年分の運転資金くらいは手元に持っていた方が安心ですが、この経費を使用するのは2年目になってからであると私は思います。
私の場合には、1年目に儲けたお金を使ってしまったため、2年目はずいぶん苦労しました。。。
また、経費の面でもオープン最初のころと比べてずいぶん節約できるようになりました。
電気代やガス代は今はオープン時の半分程度にまで減りました。
また、在庫の仕入れに関する経費もずいぶん軽くなりました。
無駄な在庫を持たない、必要もない電気やガスは消す、冷凍に対応できるものは冷凍保存するといった細かい気配りで、光熱費や仕入れの経費はかなり圧縮できることになります。
こちらの点も、店舗を営業しているうちに「今日は多くの在庫を持っていた方がよい」ということはわかるようになりますので、最初のうちは多少の無駄があるのは仕方ない部分かもしれません。
Q7、飲食店で独立・起業を考えている方にアドバイスをお願いします。
私の失敗例から分かることは、独立には資金面以上に、ノウハウや市場調査の事前準備が必要です。
オープンして顧客が来てから慌てて顧客を待たせてしまうということがないように、最低限、顧客の注文した商品だけはすぐに出せるようにしておく、町の人の流れに合わせてどのように顧客を捕まえたらいいのかを事前に把握して、町に合ったメニューを提案するといったことが非常に重要になります。
最初のうちは顧客が来ないかどうかが非常に不安になりますが、この際に慌てて広告費をかけすぎないことも重要です。
初来店されたお客様がお金をかけずに、友人知人に店を宣伝してくれるように、味以上の満足度を与えることが店にとっては最大の広告になります。
飲食店の最大の広告はなんといっても口コミだからです。
飲食店は毎日現金収入がある業種ですので、日銭を稼ごうと思えば比較的簡単な面もあります。
しかし、間違っても自分の店が持っているセールスポイントだけは消さないようにして下さい。
私の店も昼間の顧客を捕まえるために、担々麺などの麺類の提供にも力を入れています。お客様からよく言われることとして「普通の醤油や味噌ラーメンはないのか?」と言われます。
確かに、そのメニューを作ろうと思えば簡単に作れますし、普通のラーメンが食べたい顧客も捕まえることができるということは分かっているのですが、私は絶対に普通のラーメンは提供しないことを徹底しています。
なぜかと言えば、そこまでやってしまうとラーメン屋になってしまうためです。
小銭を稼ごうとして、店舗のアイデンティティーを失わないように頑固になるという部分も大切です。
とはいえ、私の場合には、もともと味の確立された火鍋という看板メニューを引きついだということで最初から大きな遺産がありました。
自分で1から開発するのはもっと大変なことだと思います。
1つだけでいいので、このメニューだけは絶対に他所には負けないという看板と店のアイデンティティーをまずは確率することをおすすめします。
また、飲食店は日銭が入るため、売上が上がった翌日などはあたかも自分がお金持ちになったと勘違いしてしまいがちですが、ここでお金を使ってしまうと、月末の支払いに苦しむことになります。
自分のためにお金を使うのは1か月の経費の支払いが済んだ翌日以降にするということを当たり前ですが徹底してください。